Root One

数学中心のブログです。

Wordの独立数式モードについて

久しぶりの更新になってしまいましたが

今回はWordの数式入力機能に関する一つの次の不便な現象

分数にすると積分や和の表示が文中数式モードになってしまう。

の回避手段について考えていきます。

Word の文中数式モードの回避手段

文中数式は「縦方向にスペースをとらないようにコンパクトに表示される数式」です。例えば次のような感じになります。

 \int_0^1 \sin x \, dx  , \quad \sum_{n=1}^\infty \frac{1}{n^2}

上の数式では

積分記号が小さい

・シグマ記号の添え字が右側につく

のようになってしまっていて、少し見栄えが良くない感じがします。

スペース制限があれば、このような形式は重宝されるのかもしれませんが、そうでないならば通常表示させたいところです。

texでは \displaystyle を用いて、文中であっても強制的に

 \displaystyle \int_0^1 \sin x \, dx  , \quad \sum_{n=1}^\infty \frac{1}{n^2}

のように表示できますが、Wordではこのような形式で表示するには「行を独立させて」表示する必要があります。行中にどうしても displaystyleで表示させたいというときは、

(1) 日本語も数式の中に入れてしまう。

(2) テキストボックスを使用する。

という二つの手段があります。(1)は少し強引ですし、(2)の方法はまた別の問題である「縦方向の位置がおかしくなる」という問題を解決する必要もありこれはこれで少しテクニックが必要です。(後述のCtrl+Dから縦方向の位置を調整する必要があるのですが、テキストボックスに関しては隣の文字も同時に選択して行う必要があったりとなかなか難度が高い方法になります。これについては今回これ以上扱いません.)

 分数をコンパクト化しない方法

独立行で数式を作成すれば上述の問題はおきないかというとそうではありません。例えば分数表示すると同じ問題が発生します。

 \frac{\sum_{n=1}^\infty \frac{1}{n^2}}{2}

この現象を回避する正式な方法はおそらくありません。(昔の数式エディタではあったようですが.) そこで少し不満はあるかもしれませんが裏技的な方法を紹介します。

 行列形式で入力して分子にアンダーバーを用いる

数式モードで2行1列の行列(かっこなし)を作ります。

f:id:likethenovel:20201229133240j:plain

すると上のようなものが表れます。上の四角に分子が、下の四角に分母が対応することになりますが、このモードではコンパクト化されません。

分数の横線は「裏技的に」アンダーバーで代用します。具体的には分子の四角に、\underbar スペース と入力します。すると

f:id:likethenovel:20201229133249j:plain

となります。アンダーバーなので、若干横線の位置が上側に寄ってしまっていますが、これは妥協するしかないかなという部分です。(分母に \bar を付ける方法もありますがそうすると逆に下側についてしまいます。)

この状態で数式を入力して完成させると次のようになります。

f:id:likethenovel:20201229133237j:plain

比較のためにTeXのdisplaystyleと比較してみます。

 \frac{ \displaystyle \sum_{n=1}^\infty \frac{1}{n^2}}{ \displaystyle 2} \quad \mbox{(tex)}

フォントの違いもあるので単純な比較はできませんが、やはりWordの方は横棒と分母の余白が大きくなってしまっています。ただ、コンパクト化されるよりはずいぶん見やすいのではないかと思います。

分母を上にずらす方法

さらにこだわって、分母の位置を上にずらすこともできます。

分母だけを選択してから、Ctrl + D を押して、次のダイアログを起動させます。

f:id:likethenovel:20201229135137j:plain

「間隔」が二か所ありますが、2番目の「間隔」が縦方向の間隔です。ここを上方向に適当に調整すると位置を調整できます。完成図は次の通りです。

f:id:likethenovel:20201229134831j:plain

(Wordで作成)

まとめ

Wordの数式入力はよくできていて、リアルタイムで数式が更新されていくということもあり、慣れると快適に利用できます。一方で基本的な 「displaystyle」に対応していないという点は気になってしまうところでもあります。しかし、テキストボックスを利用したり、今回扱ったように行列形式にしてみたりといろいろと工夫することである程度どうにかすることはできるようです。