Root One

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収束しない無限和の値を求める(2)

個人的には「収束しない無限和の値」と聞いた時、一番最初に

 \displaystyle 1+2+3+\cdots = -\frac{1}{12}

というものが思い浮かびますが、これはそのインパクトからか、いろんなところで取り上げられているので、ここでは扱いません。

今回は、三角関数  \sin n の無限和

 \displaystyle \sum_{n=1}^\infty \sin n = \sin 1 + \sin 2 + \sin 3 + \cdots 

をチェザロ平均を用いて計算します。チェザロ平均は

収束しない無限和の値を求める - Root One

で紹介しましたが、これを用いると「本来の意味」では収束しない極限値を求めることができます。

収束しないことの確認

そもそも問題の無限和が収束しないことの確認ですが、

 \displaystyle \lim_{n\to\infty} \sin n

 0 に収束しない事からわかります。

チェザロ平均

三角関数の和の公式を用いると

 \displaystyle a_n:=\sum_{k=0}^n \sin(k) = \frac{1}{\displaystyle2 \sin \frac{1}{2}} \left ( \cos \left(\frac{1}{2}\right)- \cos \left( n+\frac{1}{2}\right)  \right)

となります。一方、求めたいチェザロ平均は

 \displaystyle \lim_{n \to \infty} \frac{1}{n} \sum_{k=1}^n a_k

となります。ここで

 \displaystyle \sum_{k=1}^n a_k

を計算すると

 \displaystyle \sum_{k=1}^n a_k = n\cdot \frac{\cot \frac{1}{2}}{2} - \frac{1}{\displaystyle2  \sin \frac{1}{2}}  \sum_{k=1}^n \cos \left( k+\frac{1}{2}\right)

となって、三角関数の和公式をもう一度適用すると閉じた形で求めることもできますが、今は極限値が欲しいだけですので、そこまでする必要はありません。

なぜならば、第2項は有界n で割ると0にいくからです。

したがって

 \displaystyle \lim_{n \to \infty}  \frac{1}{n} \sum_{k=1}^n a_k = \frac{1}{2} \cot \frac{1}{2}

と計算できます。

もし a_n が収束すれば

 \displaystyle \lim_{n \to \infty} a_n =\frac{1}{2} \cot \frac{1}{2}

なので、少し強引ですが a_n が収束しない場合も同じ値で定義してしまえば

 \displaystyle \sum_{n=1}^\infty \sin n =\frac{1}{2} \cot \frac{1}{2} \quad (\text{チェザロ平均の意味})

が得られたことになります。

考察?

今回も収束しない無限和の値を求めましたが、一般的に「収束しない」無限和を求めたとき、

「どんな意味があるのか」

と疑問に思うかもしれません。というのも

「左辺(発散) = 右辺(有限)」

という等式は、近似値としては確認しようがありませんし、一意的に左辺が有限の値に定まる保証もないからです。

混乱を避けるために、今回最後に書いた等式のように「どういう意味」で成立するかを明記するのは一つの方法かもしれませんが、しかし、こういう説明を加えると神秘的な印象が薄れてしまいます。