Root One

数学中心のブログです。

一般10adic連分数展開

今回も10 adic number のお話です。

「通常の実数の世界」では、正の数 a の連分数展開は、

 \displaystyle a = \text{1の位} + \text{小数点以下のもの}

と分解して、第2項の「小数点以下のもの」の逆数をとり、同じ操作をくりかえしていきます。

この手法を参考にして、

「10 adic の連分数展開」を

 \displaystyle \text{1の位} + \text{10の位以降のもの}

と分解して、第2項から2べきと5べきの因数を取り出して、逆数をとる。という操作をくりかえして構成していくことにします。

一見負の数が現れることもありますが、10adic の世界では常にマイナス記号を使用しないで表現できるので、「1の位」の切り取りは、マイナス記号がつかない数の表示を想定して行います。

例. -1 の一桁目は 9 と解釈します。なぜならば

 \displaystyle -1 = \cdots 999999

とマイナス記号を付けないで表現できるからです。

例. -3 の一桁目は 7 と解釈します。なぜならば

 \displaystyle -3 = \cdots 999997

となるからです。

例. \frac{1}{3} の一桁目は 7 と解釈します。なぜならば

 \displaystyle \frac{1}{3} = \cdots 66666667

となるからです。

これらを踏まえて、123を10adic連分数展開します。

\begin{align} 123 &= 3 + 120 \\ &=3 + 40\cdot 3\\ &=3 + \frac{\,\,40\,\,}{\displaystyle \frac{1}{\displaystyle 3}}\\ &=3 + \frac{\,\,40\,\,}{\displaystyle 7+ \left( \frac{1}{\displaystyle 3}-7 \right) } \\ &=3 + \frac{\,\,40\,\,}{\displaystyle 7+ \frac{20}{\displaystyle -3}} \\ &=3 + \frac{\,\,40\,\,}{\displaystyle 7+ \frac{20}{\displaystyle 7+(-10)}} \\ &=3 + \frac{\,\,40\,\,}{\displaystyle 7+ \frac{20}{\displaystyle 7+\frac{10}{\displaystyle -1} }} \\ &=3 + \frac{\,\,40\,\,}{\displaystyle 7+ \frac{20}{\displaystyle 7+\frac{10}{\displaystyle 9 + (-10)} }} \end{align}

-10 が出現すると規則的に9が分母に繰り返されるので、

 \displaystyle 123 =3 + \frac{\,\,40\,\,}{\displaystyle 7+ \frac{20}{\displaystyle 7+\frac{10}{\displaystyle 9 + \frac{10}{\displaystyle 9+ \frac{10}{\displaystyle 9+ \raise{10pt} {}_{\ddots} } } } }}

が得られます。このように有限整数が無限連分数展開を持つ可能性があります。

注. これは、10adicの世界で成立する数式です。実数の世界では上の連分数は

 \displaystyle \frac{137}{19}

に収束し、123には収束しません。

「10adic連分数展開」と「通常の実数の世界の連分数展開」の比較

10adicの世界では

 \displaystyle -1 = 9+ \frac{10}{\displaystyle 9+\frac{10}{\displaystyle 9 + \frac{10}{\displaystyle 9+ \frac{10}{\displaystyle 9+ \raise{10pt} {}_{\ddots} } } } }

が成立しますが、実数の世界では

 \displaystyle 10 =9+ \frac{10}{\displaystyle 9+\frac{10}{\displaystyle 9 + \frac{10}{\displaystyle 9+ \frac{10}{\displaystyle 9+ \raise{10pt} {}_{\ddots}  } } } }

となります。

今  \displaystyle x =9+ \frac{10}{\displaystyle 9+\frac{10}{\displaystyle 9 + \frac{10}{\displaystyle 9+ \frac{10}{\displaystyle 9+ \raise{10pt} {}_{\ddots}  } } } }

とおいて、収束を仮定すると

 \displaystyle x = 9 + \frac{10}{x}

が成り立ちます。つまり

 \displaystyle x^2 -9x-10=0

となるわけですが、この解が

 \displaystyle x=-1,10

となります。

10adicの世界で見るか、実数の世界で見るかで解が分かれるというのは興味深いです。

10adic非自明 \sqrt{1} の連分数展開

すでに

ルート1の10 adic 連分数展開 - Root One

において、ルート1の規則的な10adic連分数展開

 \displaystyle \sqrt{1} = 9-\frac{40}{\displaystyle 9-\frac{20}{\displaystyle9-\frac{20}{\displaystyle9-\frac{20}{\displaystyle9-\ddots} } }  }

を得ていますが、これはマイナス記号を許したもので、マイナス記号を許容しない今回の手法とは異なります。

では、今回の手法で \sqrt{1} を連分数展開するとどうなるかを確かめてみたいところですが、これが良くわかりませんでした。

最初の係数をいくつか計算してみると

 \displaystyle \sqrt{1} =9 + \frac{\,\,40\,\,}{\displaystyle 1+ \frac{10}{\displaystyle 3+\frac{10}{\displaystyle 3 + \frac{20}{\displaystyle 1+ \frac{20}{\displaystyle 1+ \ddots } } } }}

となりますが、まったく規則が見えません。

(より長い連分数展開は 連分数(10adic) (外部サイト) を参照.)

ただし、7 倍や 9 倍すると規則的になります。

 \displaystyle 7 \sqrt{1} =3 + \frac{\,\,20\,\,}{\displaystyle 3+ \frac{10}{\displaystyle 3+\frac{10}{\displaystyle 3 + \frac{10}{\displaystyle 3+ \frac{10}{\displaystyle 3+ \ddots } } } }}

 \displaystyle 9 \sqrt{1} =1 + \frac{\,\,40\,\,}{\displaystyle 1+ \frac{20}{\displaystyle 1+\frac{20}{\displaystyle 1 + \frac{20}{\displaystyle 1+ \frac{20}{\displaystyle 1+ \ddots } } } }}

そもそも、標準的な連分数展開にみえる手法を使用しているにも関わらず、1の平方根の展開結果が、不規則的に見えるということ自体が不思議です。また、ただ自然数倍するだけで、規則的なものが現れるというのも不思議な感じがします。