Root One

数学中心のブログです。

ルート1の10 adic 連分数展開

今回も 10 adic number のお話です。普通の数の世界で、「ルート1の連分数展開はどうなるのか」などといえば、ちょっと心配されてしまいそうですが、10 adic な世界では別段おかしな話ではありません。

10 adic number の世界には非自明な1の平方根というのがあり、これを求める方法はいくつかありますが、

10 adic な指数的極限値 - Root One

で導出した

 \displaystyle \sqrt{1} = 2 \lim_{n \to \infty} 5^{2^n} -1

を用いる方法はわかりやすいです。(Maximaなどの数式処理ソフトを使用すると、この式からおそらく100桁くらいは簡単に求められます。)

実際に近似計算すると

 \displaystyle \sqrt{1} = \cdots 781249

のようになりますが、以下、この「1の位の9」だけを利用して連分数展開に挑戦します。

10adic的に収束する連分数(準備)

当然のように通常の世界の連分数とは話が違います。10adicの連分数展開は10adic的に収束しなければなりません。結論から言うと次の形であれば収束します。

 \displaystyle a_0 + \frac{10b_0}{\displaystyle a_1 + \frac{10b_1}{\displaystyle a_2 + \frac{10b_2}{a_3 + \ddots} }} \tag{1} \label{afcds}

ここで a_n (n\geq 1) は「10と互いに素」で、b_n は整数です。

このような仮定をすると、上の連分数では、各段階で

 \displaystyle a_n + \text{10adic的に(絶対値が)1より小さい数}

となっており、収束する様子を感じることができるかもしれません。

10進数の絶対値の説明はこのブログではしていませんが、

端的にいえば、10で割れるほど小さい数とみなすというのが、基本精神です。

詳細は

10進数の絶対値と距離(外部サイト)

を参照してください。

ルート1の連分数展開

\eqref{afcds} の形に持っていきたいので、

 \displaystyle \sqrt{1} - 9 = \cdots 1249 - 9 = \cdots 1240

となることを考慮して

 \displaystyle \sqrt{1} = 9 + (\sqrt{1}-9 )

と変形します。(通常の連分数展開で、整数部分+小数部分と分割するようなもの?)

右辺第2項を有理化して

 \displaystyle \sqrt{1} = 9 + (\sqrt{1}-9) = 9 - \frac{80}{9 + \sqrt{1}}

と変形します。以下これを繰り返し適用すれば

\begin{align} \sqrt{1} &= 9 + \sqrt{1}-9 \\ &= 9 - \frac{80}{\displaystyle 9 + \sqrt{1}} \\ &= 9 - \frac{80}{\displaystyle 18+ \sqrt{1}-9} \\ &= 9 - \frac{80}{\displaystyle18 - \frac{80}{\displaystyle9+\sqrt{1}}}\\ &= 9 - \frac{80}{\displaystyle18 - \frac{80}{\displaystyle 18 - {}_{\ddots} }} \end{align}

が得られます。しかし、この結果は \eqref{afcds} の仮定を満たしていません。なぜならば分母に18という10と互いに素でない数が来ているためです。そこで、2で割って少し変形すると収束性がはっきりします。

 \displaystyle \sqrt{1} = 9-\frac{40}{\displaystyle 9-\frac{20}{\displaystyle9-\frac{20}{\displaystyle9-\frac{20}{\displaystyle9-\ddots} } }  }

これで、\eqref{afcds} の仮定をみたす連分数展開が得られました。

早速、有限で切って妥当性を近似計算してチェックしてみましょう。

 \displaystyle 9-\frac{40}{\displaystyle 9-\frac{20}{\displaystyle9-\frac{20}{\displaystyle9-\frac{20}{\displaystyle9} } }}   =  \frac{4149}{2101}

右辺の割り算は10 adic の世界の割り算ですが、10 adic の割り算というのは有限で切ればmod の話に帰着されます。

10 adic number の世界の割り算 - Root One

の手法で筆算も可能ですが、今の場合

 \displaystyle 2101 x  \equiv 4149 \mod 10^4

をとけばOKです。そして、これをとくと

 \displaystyle x = 1249

が得られます。これを見ると、たしかに \sqrt{1} と4桁一致しています。

まとめ

\sqrt{1} の連分数展開を行ったところ

 \displaystyle \sqrt{1} = 9-\frac{40}{\displaystyle 9-\frac{20}{\displaystyle9-\frac{20}{\displaystyle9-\frac{20}{\displaystyle9-\ddots} } }  }

が得られました。ただし、計算効率はあまりよくなさそうです。

追記

もう少しきれいな連分数展開が見つかりました。

\sqrt{1} を9倍するところがポイントです。

\begin{align} \frac{1+9\sqrt{1}}{2} = 1 + \frac{20}{\displaystyle1 + \frac{20}{\displaystyle 1 + \frac{20}{1 +\raise{10pt} {}_{\ddots} } }} \end{align}

Note. これは10adicの世界の等式ですが、通常の実数の世界でも \sqrt{1}=1 と取れば成立します。