Root One

数学中心のブログです。

10 adic な指数的極限値

今回は 10 adic number の話です。この世界では

 \displaystyle \lim_{n \to \infty} 5^{2^n} =\frac{1+\sqrt{1} }{2}

が成立するのですが、どのようにしてこれが得られるのか調べます。

予備知識

10 adic number の世界では \pm1 以外に非自明な \sqrt{1} が存在して、

 \displaystyle \sqrt{1} = \lim_{n\to \infty} \frac{5^n-2^n}{5^n+2^n}

によって計算できるという話があります。(注意:右辺の割り算は10 adic number の世界の割り算. 証明は1の平方根と2乗しても変わらない数 (外部サイト) を参照してください.)

この計算式から具体的に

 \displaystyle \sqrt{1} = \cdots 25781249

と求めることができます 。

本題

極限値

 \displaystyle \lim_{n \to \infty} 5^{2^n}

は通常の実数の世界では、もちろん \infty にいきますが、10 adic number の世界では収束します。

表1.

 5^{2^n}

     最初の10桁

 5^2

                     25

 5^{2^2}

                   625

 5^{2^3}

             390625

 5^{2^4}

  ...2587890625

 5^{2^5}

  ...6962890625

 5^{2^6}

  ...5712890625

 5^{2^7}

  ...3212890625

 5^{2^8}

  ...8212890625

そもそも収束すること自体が自明ではないですが、上のように計算すると、ある一定の数(無限桁の数)に収束していく様子がみてとれます。

この値がどのようなものになるか調べるために

 \displaystyle a = \lim_{n \to \infty} 5^{2^n}

と置いてみます。 細かいことは気にせずに両辺を2乗すると

 \displaystyle a^2 =\lim_{n \to \infty} 5^{2^{n+1}}

が得られますが、右辺は a の定義式の nn+1 になっただけなので、収束を仮定すると元の極限値 a と一致することになります。したがって

 \displaystyle a^2 = a

が得られます。つまり a2次方程式

 \displaystyle x^2 - x = 0 \tag{1} \label{x2mx0}

の解になります。この2次方程式解の公式を使ってとくと

 \displaystyle x = \frac{1\pm\sqrt{1}}{2}

が得られますが、10 adic number の世界の \sqrt{1}4種類の可能性があるので、どれを選ぶべきかを考える必要があります。

\sqrt{1}=1 とすると、x=1,0 となりますが、表1の近似計算から a \neq 1,0 は明らかなのでこの選択は間違いです。したがって、ここでは非自明な \sqrt{1} を選択するのが正解です。とはいってもまだ +\sqrt{1} なのか -\sqrt{1} なのかを決定する必要があります。

実際  \sqrt{1} = \cdots 25781249 を用いて近似計算すると

 \displaystyle \frac{1+\sqrt{1} }{2} = \cdots2890625

 \displaystyle \frac{1-\sqrt{1} }{2} = \cdots7109376

となるので(補足)、表1の近似計算結果から予想すると

 \displaystyle a = \frac{1+\sqrt{1} }{2}

となるしかありません。つまり

 \displaystyle \lim_{n \to \infty} 5^{2^n} =\frac{1+\sqrt{1} }{2}

を得ることができました。

ということで、ちょっと怪しい議論はありましたが、一応目的の関係式を導出することに成功しました。

注:\eqref{x2mx0} から

 \displaystyle x(x-1) =0 \Longrightarrow x=0,1

とは結論できません。一般に 10 adic number の世界では

 \displaystyle A B = 0 \Longrightarrow A=0 \,\, \text{or} \,\, B=0

とは言えないからです。(この辺の事情は行列の世界と一緒です.)

補足.

\begin{align} \frac{1-\sqrt{1} }{2} &= \frac{1- (\cdots 25781249) }{2}\\ &= \frac{1-1-(\cdots 25781248)}{2} \\ &= \frac{1+\cdots99999999- (\cdots 25781248)}{2} \\ &= \frac{1+\cdots74218751}{2} \\ &= \frac{\cdots74218752}{2} \\ &= \cdots7109376 \end{align}

最後の2による割り算は

10 adic number の世界の割り算 - Root One

を参照してください。