Root One

数学中心のブログです。

黄金比と多重根号

前回の記事で方程式の根の表示方法について述べました。

今回は同じ手法を用いて、黄金比の多重立方根表示を得たいと思います。

黄金比を 

f:id:likethenovel:20190320104845j:plain    とおくと

\begin{align} g^2 = 1 + g  \qquad \text{(1)}\end{align}

という方程式を満たします。両辺に平方根をとると

\begin{align} g = \sqrt{1+g} \end{align}

がえられ、この関係式を繰り返し用いていくと(厳密ではないですが)

\begin{align} g = \sqrt{1+ \sqrt{1+ \sqrt{1+ \sqrt{\cdots } } } } \end{align}

という多重平方根表示が得られました。これをふまえて多重立方根表示を探します。

多重立方根表示

(1) の両辺に g をかけて

\begin{align} g^3 = g^2 + g = (1+g) +g = 1 +2 g\end{align}

と変形し、

\begin{align} g^3 = 1 + 2g \end{align}

という関係式を得ます。さらに

\begin{align} g = \sqrt{2} y \end{align}

という変換をすると

\begin{align} 2\sqrt{2} y^3 = 1 + 2 \sqrt{2} y\end{align}

が得られます。両辺を\sqrt{8}で割ってやれば

\begin{align} y^3 =y + \frac{1}{\sqrt{8}} \end{align}

が得られ、さらに両辺で3乗根をとることで

\begin{align} y = \sqrt[3]{\frac{1}{\sqrt{8}} + y } \end{align}

が得られます。この関係式を繰り返し用いると

\begin{align} y =\sqrt[3]{\frac{1}{\sqrt{8}} + \sqrt[3]{\frac{1}{\sqrt{8}} + \sqrt[3]{\frac{1}{\sqrt{8}} + \cdots  } } } \end{align}

が得られます。g = \sqrt{2} y だったので、

\begin{align} g = \sqrt{2} \sqrt[3]{\frac{1}{\sqrt{8}} + \sqrt[3]{\frac{1}{\sqrt{8}} + \sqrt[3]{\frac{1}{\sqrt{8}} + \cdots  } } } \ \end{align}

を得ることができました。つまり

\begin{align} \frac{1+\sqrt{5}}{2} = \sqrt{2} \sqrt[3]{\frac{1}{\sqrt{8}} + \sqrt[3]{\frac{1}{\sqrt{8}} + \sqrt[3]{\frac{1}{\sqrt{8}} + \cdots  } } }\end{align}

ということですが、若干 \sqrt{2} は気になります。しかし、一応これで黄金比の多重立方根表示を得られたということにしましょう。 ただし \sqrt{2} で割って

\begin{align} \frac{1+\sqrt{5}}{\sqrt{8} } = \sqrt[3]{\frac{1}{\sqrt{8}} + \sqrt[3]{\frac{1}{\sqrt{8}} + \sqrt[3]{\frac{1}{\sqrt{8}} + \cdots  } } }\end{align}

としたほうが形はきれいになりますね。でもこうするともはや黄金比ではなくなってしまいますが。

まとめ

ポイントは、(1)式に  g をかけて、2 次式をわざわざ 3 次式に変換したところです。もう一度  g をかければ 4 次式になり、多重 4 乗根表示を得ることもできます。この議論をつづければ一般に黄金比の多重 n 乗根表示が得られます。