Root One

数学中心のブログです。

数字で遊ぶ

 

1を2倍して2. また2倍して4という操作をくりかえして、どこまで計算できるでしょうか。

それはさておき、2の累乗(べき)というのは、面白い性質を持ちます。

今回のテーマは

2累乗であそぶ

です。

2べきの和を考える

2べきを順番に足していくと面白い性質が見えます。

 2べき   総和
      1  ここまでの総和 →        1
      2  ここまでの総和 →        3
      4  ここまでの総和 →        7
      8  ここまでの総和 →      15
    16  ここまでの総和 →      31
    32  ここまでの総和 →      63
    64  ここまでの総和 →    127
  128  ここまでの総和 →    255
  256  ここまでの総和 →    511
  512  ここまでの総和 →  1023
1024  ここまでの総和 →  2047

この表の一番左の列と一番右の列を見ると、一段ずれて、近い数(1だけ違う)が並んでいることに気づきます。これを一般的に数式で述べると

 \displaystyle 1+2+2^2+\cdots+2^n= 2^{n+1}-1

という関係になります。これは、高校で学習する「等比級数の和の公式」というものから導かれるものですが、このように表を作ってみれば、自然に法則が見えます。

2の負べきを全部足す

今度は、負のべきを全部足すとどんな数になるか考えます。(ここから難度が上がります。)つまり

 \displaystyle \frac{1}{2} + \frac{1}{2^2} + \frac{1}{2^3} +  \cdots

という無限和を考えるということです。結論をいえば、これは1になります。

証明.

まず、先ほど得た等式

 \displaystyle 1+2+2^2+\cdots+2^n= 2^{n+1}-1

の左辺の和の順序を逆にします。

 \displaystyle 2^{n} + 2^{n-1} +\cdots+2^2 + 2+ 1 = 2^{n+1}-1

そして両辺を2^{n+1}で割ると

 \displaystyle \frac{1}{2} + \frac{1}{2^2} + \cdots + \frac{1}{2^{n+1}} = 1 - \frac{1}{2^{n+1}}

が得られます。ここでn\to \inftyとしてやれば、左辺が求めたい無限和、右辺がその結果になります。極限の記号を使うと

 \displaystyle \frac{1}{2} + \frac{1}{2^2} + \cdots = 1 - \lim_{n\to\infty} \frac{1}{2^{n+1}}

となります。右辺は 1 となるので、証明完了です。(極限を使用するので一応ここの話は高校の「数学3」の話になります。さらに厳密な議論をするならば大学レベルの話になります。)

結果を改めてしっかり述べると次が得られたことになります。

 \displaystyle \frac{1}{2} + \frac{1}{2^2} +\frac{1}{2^3} +  \cdots = 1

2べきを一つずらして足す

では次は、一つ位をずらして足していくとどうなるかを見てみましょう。

                            1
                          2 0
                        4 0 0
                      8 0 0 0
                  1 6 0 0 0 0
                3 2 0 0 0 0 0
              6 4 0 0 0 0 0 0
          1 2 8 0 0 0 0 0 0 0
        2 5 6 0 0 0 0 0 0 0 0
      5 1 2 0 0 0 0 0 0 0 0 0
  1 0 2 4 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
+ \vdots \vdots \vdots \vdots \vdots \vdots \vdots \vdots \vdots \vdots \vdots \vdots \vdots \vdots
      \cdots 7 8 9 4 7 3 6 8 4 2 1

 そうすると、1の位から、数字が決定していくことに気づきます。

上の表から、

「2べきを1桁ずらして足したものの和」= \cdots 78947368421

と最初の11桁はなっていることが分かりますが、これはどのような数の列になるでしょうか。一見するとなんの規則も見えませんが、実はこの整数は循環します。そしてその周期は18になります。つまり、18桁ごとに同じ数字をくりかえすような整数があらわれます。なぜそんなことが分かるか、その解説をするのは少し難しいのですが、こちら

情報系学習サイト

で解説しましたので、興味ある人は参考にしてください。(数学→\mathbb{Z}_{10}の逆数の記事.)

2べきの部分列を見る

ここからの話はさらに高度な話になります。10 adic number の知識がないと理解が難しいですが、雰囲気だけでも味わっていただければと思います。

手計算では大変ですが、計算機を使って

 \displaystyle a_n= 2^{5^n}

を計算してみると次の結果が得られます。

\begin{eqnarray} 2^{5^0}&=&2\\ 2^{5^1}&=&32 \\ 2^{5^2}&=&33554432 \\ 2^{5^3}&=&42535\text{(...途中略...)}026432 \\ 2^{5^4}&=&13923 \text{(...途中略...)}386432 \end{eqnarray}

ここで、1の位から数字を左に注意深く観察すると

a_{n-1}a_{n}n 桁一致していることに気づきます。

これが正しいとすれば、極限を考えた時にある無限桁の数の列が一つに決まることを意味します。(これは通常の実数の世界では収束しないのですが、もう一つの数の世界である10 adic number の世界では収束します.) よって

 \displaystyle x = \lim_{n\to \infty} a_n

とおくことができ(10 adic numberの世界では許されます.)

x^5=x を満たします。

最初の 10 桁を求めると

 \displaystyle x = \cdots 9879186432

となります。(実際に x^5 の最初の 10 桁を計算してみると

 \displaystyle x^5 \equiv x \mod 10^{10}

が確認できるはずです。)

まとめ

これまでの議論では、2の累乗の数字を足したり、1桁ずらして足したり、部分列を考えたりしただけなのですが、そこに現れた数には何かしらの法則があることが分かりました。数学の研究は必ずしも、抽象的で難しい記号や概念を利用しないといけないわけではありません。素朴な2の累乗を考えても、これだけの発見があり、世界が広がっていくわけです。