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実数とは異なるもう一つの数の世界

 \newcommand\zten{\mathbb{Z}_{10}}

この記事では、「p adic number」 という実数とは異なる数の世界を紹介する。

この数の世界の発見は実数と比較して、かなり新しく、

約100年ほど前にHenselによって、発見されたものである。

端的に言えば、小数点以下に無限に数が続く世界が、

よく知っている「実数の世界」であり、

小数点以下、に数が無限に続く世界が

「p adic number」の世界となる。

通常pというのは素数であるが、p=10のケースが面白い。この

「10 adic number」の世界では、少し衝撃的にも見える等式

\[ \cdots99999 = -1\]

が成立する。

実数の世界(\mathbb{R}

実数の世界では

小数点以下側に無限に数字が続く数、例えば

 3.14159\cdots

のような数を認める。また、この世界には、距離という概念がある。

0.10は少し近い。

0.010は結構近い。

0.0010はとても近い。

というように。一般には、二つの実数a,bが近いとは

\[|a - b|\]が0に近いこととする。

これは、数直線上でみれば、実際の長さに対応してわかりやすい。

そして、この世界では、限りなく近いと思われる二つの数を同一視する。

この同一視によって、

\[0.99999\cdots = 1\]

のような不思議な等式が自然にあらわれる。

では、このような考えと方向の考え方をするとどんな数の世界があらわれるのかを

見ていきたい。

実数とは異なるもう一つの数の世界(\mathbb{Z}_{10}

1の位から見て側に無限に数字が続く数、例えば

\[ \cdots11111 \]

のような数を認めることにしよう。また、

100は少し近い。

1000は結構近い。

10000はとても近い。

という距離感を導入する。もう少し厳密に、そして一般的にいうと、

二つのこの世界の数a,bは、

\[ a-b \]

がたくさん10で割り切れるほど、近いとする。

例えば、

1232は少し近い。(32-12=20は10で1回割れる)

12412は結構近い。(412-12=400は10で2回割れる)

125012はとても近い。 (5012-12=5000は10で3回割れる)

121000000012は非常に近い。

(1000000012-12=1000000000は10で9回割れる)

という具合になる。

もうすこし、かみ砕いて言えば、文字列として見て、

1の位から左に数を比較して、

一致する文字が多ければ多いほど、二つの数は近いということになる。

(ただし、適宜0を補って、12を0012と解釈したりする必要がある。)

例.

a=\phantom{0000}218751

b=\phantom{00}74218751

を比較すると、1の位から左に見て、6桁一致するので、abは非常に近いとみなす。

そして、この距離に関して、限りなく近い数を同一視する。

例えば左に0が無限に続くならば、0と同一視する。つまり、

 \cdots0000 = 0

とする。

このような考え方から、10 adic numbersと呼ばれる世界(記号で\mathbb{Z}_{10})

が生まれる。この世界では

 \cdots 99999 = -1

が成立する。実際、左辺に1を足して、これが0になることは

 \cdots 99999 + 1 = \cdots00000  = 0

として確認できる。

\mathbb{Z}\mathbb{Z}_{10}に含まれるのか

おおざっぱであるが、

\zten  とは、 {1の位から左側に無限桁もゆるす数全体}

という集合に、先ほど導入した距離感が入ったものとして理解してもらいたい。

例.

0\in \zten, \quad 123 \in \zten , \quad \cdots 2222 \in \zten

マイナス記号がついた数を直接的に定義に含めなくても

-1 \in \zten は結局成り立つ。なぜならば

\[-1 = \cdots 99999 \in \zten \]

となるからである。では

\[-2 \in \zten \]

 は成り立つだろうか。これは次のようにすれば良い。

\[-2 = -1-1 =\cdots999 -1 = \cdots998 \in \zten \]

以下、同様にして

\[-3 = -1-2 =\cdots999 -2 = \cdots997 \in \zten \]

\[-4 = -1-3 =\cdots999 -3 = \cdots996 \in \zten \]

\[-5 = -1-4 =\cdots999 -4 = \cdots995 \in \zten \]

となるから、この議論を続けると負の自然数はすべて、\ztenの世界に含まれることがわかる。つまり

\[ \mathbb{Z} \subset \zten \]

が確認できたことになる。

有理数はどれくらい\ztenに含まれるか

残念ながら有理数全体は\ztenには含まれない。

例えば、0.1はどうしようもなく、\ztenの数にはならない。

一方

\[ \frac{1}{3} \in \zten \]

は成立する。これは

\[ \frac{1}{3} = \cdots6667 \in \zten \]

が成り立つからである。実際、

\[  3 \times ( \cdots66667) = \cdots0000 1 = 1  \]

と計算できるから、これが正しいことが確認できる。

一般に分母が10と互いに素である有理数はすべて\zten

含まれることが知られている。例えば

\[ \frac{1}{7} \in \zten \]

も成立する。これは

\[ \frac{1}{7} = \cdots 2857143 \]

を確認すれば良い。(285714は以下循環して現れる.)

実際の確認作業は1/3と同じである。

\[ 7 \times (\cdots 2857143)  = \cdots 0001\]

 を確認すれば良い。